【意外と知らない】シスプラチンを生理食塩水で希釈する理由

抗悪性腫瘍薬であるシスプラチンは溶解時に生理食塩水を使用します。
ここでシスプラチンを生理食塩水で溶解しなきければいけないのは知ってるけど、理由まで答えられる人は少ないのはないでしょうか。
今回はこの理由について解説します。
シスプラチンを生理食塩水で溶かす理由
⇒細胞透過性を上げるため。

シスプラチンを生理食塩水で溶かす理由は薬剤の細胞透過性を上げるためです。
シスプラチンはDNAと結合して薬効を示すので、効果を発揮するためにはシスプラチンが細胞膜を通過する必要があります。
もっと言えばシスプラチンが細胞膜を通る為には分子型である必要があり、Clが少ないと水と反応してイオン型が増えて細胞膜を通過できなくなってしまいます。
(下図)

以上の理由からシスプラチン溶解時には生理食塩水(Cl)が必要です。
白金製剤の溶解剤と注意点
シスプラチン以外の溶解剤も確認しておきましょう。

白金製剤とアルミニウム
ミリプラチンを除き、白金製剤はアルミニウムと反応して活性が低下するのでアルミニウムの使用を避ける必要があります。
ここも併せてチェックしておきましょう。
参考:白金製剤開発の歴史
※( )内の数字は日本で承認された年。
一番最初の白金製剤。
腎毒性が強い。
シスプラチンの腎毒性を考慮して開発された。
AUCを用いて用量を計算する。
日本で開発された初の白金製剤。
シスプラチン、カルボプラチンよりも吐き気が出にくい。
日本で開発された肝がんへの適応を獲得した白金製剤。
油カプセルの封入した製剤。
カルボプラチン・ネダプラチン
⇒第2世代
オキサリプラチン・ミリプラチン
⇒第3世代
と分類されている。

医薬品の歴史おもしろいよね!
関連する過去問
シスプラチン
カルボプラチン
カルボプラチンの投与量は、目標とする血中薬物濃度時間曲線下面積(AUC)を決めて、カルバートの式を用いて計算する。
(99-301)
- 解説・解説
-
〇
類題カルボプラチンとパクリタキセルの投与の順番【薬剤師国家試験101回問332】
オキサリプラチン
まとめ:白金製剤の溶解剤は臨床でも重要
シスプラチンを生理食塩水で溶かす以外は国試でも出題がない内容だったので、重要度が低いと感じるかもしれませんが実務実習や病院で働きたい人には必須の知識になるので覚えた方が良い内容です。
また、国試今後出題される可能性もあるので今回の内容を青本などにメモしておいて下さい。
それではっ!
