【7割取れる!】薬剤師国家試験の化学勉強法

恐らくあなたは化学に対してこのようなイメージがあると思います。
僕も化学をガチで勉強するまではこんな感じでした。
具体的には
最初はこのレベルでした。。。
しかし大学2年~3年の約2年間化学に向き合い勉強した結果、
- 薬ゼミ模試で2万人中23位(上位0.1%)
- CBT以降、化学の復習は殆ど行っていない。
こういった実績を出すことができました。
国試の時は化学の勉強時間を減らせた分、他の科目を勉強することができました。
今回は僕が実践した化学必勝法を解説していきます。
- 定期試験
- CBT
- 国家試験
- 現場(薬剤師になった後)
全てに通用する考え方なのでぜひ参考にしてください。
国試における「化学」のメリット・デメリット
メリット:化学以外の科目で点数が取りやすくなる
直近の110回国試では、化学+化学関連で46問(13%)の出題がありました。
(Hachi薬調べ)
110回の化学関連問題を数問ご紹介します。


化学を知っていれば他科目の知識が無くても解けるケースがたくさんあるよ!
デメリット:知識の定着に時間がかかる
⇒だけど、一度理解すると忘れにくい!
対して化学は、理解・暗記に時間がかかります。
衛生や薬理のようにゴロ合わせを覚えればすぐ点数に繋がる科目ではないです。
ただ、化学はしっかり理解すれば早々忘れることはないので最初頑張れば後が楽になる科目です。

1~2年生の内にガッツリ化学をやって、CBT・国試を楽にしよう!
化学はこのような特徴がある科目なので、CBTや国試直前期はあんまり手を出さない方が良いです。
化学勉強方法
官能基
⇒問題を解けばで自然と身に付くので無理して覚えなくて良い。
官能基だけを覚えようとするのは効率が悪いです。
それよりも問題を解きながら出題された官能基+関連する官能基を都度整理していく方が良いです。
具体例を出すと101回のセフジニルの問題で「セフェム」「オキシム」「アミノイミダゾール基」について問われています。
もう一つ過去問をご紹介します。
109回のNSAIDsの問題では4つが官能基に関する記述でした。
この問題だけで官能基の知識がかなり付きます。
キラル・アキラル
⇒イメージを付けたら過去問を解きまくる!
キラル
⇒RSがある。
アキラル
⇒対象面がある。
みたいなイメージが出来たら問題をたくさん解いて慣れていくのが一番です。
色んな構造を見てパターンを覚えていくのが良いでしょう。
102回では「アダマンタン骨格」の立体について問われていました。
また、107回ではバレニクリンの立体について問われていました。

何回もトライしてパターンを掴もう!
酸性度・塩基性度
⇒パターン分かれば楽勝!
キラル・アキラルと同じでパターンが分かれば難しくないです。
繰り返し過去問を解きましょう。
酸性度・塩基性度は先ほどの「ビルダグリプチン」「バレニクリン」でも問われていましたし、99回、105回などでも出題がありました。
参考までに載せておきます。
アミド、ペプチド
⇒中性
塩基性度
⇒三級>二級>一級
酸性度
⇒カルボン酸>フェノール>チオール>アルコール
反応
⇒「電子の動き」と「試薬の働き」がポイント!
一番ヤバイと思ってるのはココじゃないでしょうか。
反応を勉強する時に注意して欲しいのは反応を直で覚えようとしないことです。
理由は、構造式が変わったら対応不可能になるから。
重要なのは
- 電子の動き
- 試薬の働き
の2点を理解することです。
ここがしっかり分かっていれば構造式が変わっても対応できます。
これは推測ですが「電子と試薬の意味」が理解できれば、逆に間違える方が難しいんじゃないかなって思ってます。笑
ここを学ぶためには過去問も大事ですが、何か1冊読み込んで時間をかけて学んだ方が良いです。
僕は「化学系薬学Ⅰ」「ソロモンの有機化学」で学びましたが、1冊あれば十分です。
反応を勉強する上での考え方を紹介します。
- なぜ電子がこの原子に攻撃してるのか?
他の原子にはなぜ攻撃しないのか。
例
なぜ、アミドの炭素ではなくカルボニル炭素の方が攻撃されやすいのか。
⇒アミドは共鳴するから電子が攻撃しにくいから。
- この試薬はどんな働きをしているのか?
例
塩酸
⇒酸性条件下
⇒プロトンがくっつく!
水酸化ナトリウム
⇒塩基性条件下
⇒OH–が求核攻撃する!
後処理
⇒水を加えてる
⇒水が反応する
みたいな感じで反応1つ1つに疑問を投げかけながら勉強すると確実に実力は上がります。
化学の反応が理解できると、
- 物理
確認試験
滴定 - 生化学
代謝 - 衛生、動態
ADME - 病態
酸塩基平衡
などが暗記しなくても分かるようになるので頑張った方が良いです!
他の科目を覚えなくて良くなるのは国試のハードルがめっちゃ下がります。
反応名
⇒頑張って暗記(笑)
すいません、ここは頑張って覚えて下さい。
でも国試で反応名ってあんまり問われないので無理して覚えなくても良いですよ。
逆に試薬名は直接反応に関わるので覚えた方が良いです。
天然物化学・生薬
⇒「特徴」を掴めば構造式全部を覚える必要なし!

これを覚えよう!
とか言わないのでご安心を。
そうではなくて、「パクリタキセルはタキサン環を持つ」位の感覚で覚えればOKです。

このように構造の特徴を掴めれば問題は解けます。
薬剤師として構造式を覚えることが大事なのではなく、構造を見て性質を判断できることが重要です。
この観点でもう一度パクリタキセルを見てみると、脂溶性(LogP=3.7)だと判断できます。
更にパクリタキセル注射液(タキソール®)には脂溶性のパクリタキセルを溶解するために乳化剤のヒマシ油や溶解剤のエタノールが使われています。

※LogP値は1以上で脂溶性、
1未満で水溶性と言われています。
このように勉強して貰えれば天然物化学・生薬は大丈夫です。
医薬品化学
⇒化学系薬学Ⅱを読み込めばOK
国試・模試で科目の領域なく登場するのがこの分野。
医薬品化学では化学の全体的な知識を医薬品と絡めて問われるので、ここまでの内容が理解できていれば基本大丈夫です。
強いて言えば、「化学系薬学Ⅱ」がオススメで1冊読みこんでおけば安心です。
+α 普段からIFで調べる癖を付けよう!
日頃講義などで多くの医薬品を学ぶと思いますが、講義が終わったら自宅で構造式を調べる癖を付けておくと更に化学の上達が早くなります。
正直「構造式を見たから何なの?」ってなると思いますが、構造を見た上で+αで考えていくのが重要になります。
オススメはインタビューフォーム(IF)です。
ロキソプロフェンのIFを例に解説します。

- 構造式
- IUPAC名
- 溶解性
- 酸塩基解離定数
- 分配係数
ロキソプロフェンだけでこれだけの情報が手に入ります。

国試で問われてる内容が詰まってるね!
IFを見る時には、以下のような観点を持つとより理解が深まります。
- 溶解性
⇒なんで水に溶けやすいのに、ジエチルエーテルには溶けないの? - 酸塩基解離定数
⇒なんで酸性(塩基性)薬物なの? - 分配係数
⇒なんで脂溶性なの?
起因する官能基は?

疑問を持って勉強することが大事!
IFは現場の薬剤師が使うイメージですが、学生の内からガンガン活用した方が良いです。
化学だけじゃなく、薬理、薬剤などの深堀りもできるので普段からIFを活用していきましょう。
おまけ①:IFの「開発の経緯」「名前の由来」はめっちゃ得する
IFは医薬品の知識や化学的性質が学べるだけでなく、
「そもそもなぜこの医薬品が生まれたのか」
「なぜこの名前になったのか」
という経緯も書かれているので併せて読んでみると勉強になります。
開発の経緯
グーフィス®錠
(エロビキシバット)

ベルソムラ®錠
(スボレキサント)


経緯が分かるとストーリー形式で覚えられるね!
名前の由来
アダラート®CR錠
(ニフェジピン)

リズモン®TG点眼液
(チモロール)


商品名に薬剤の特徴が隠れていることもあるよ!
おまけ②:「薬の語源」を知れば「医薬品+化学」の知識が手に入る
先程の内容は商品名の由来、今回は成分名の由来の話です。
国家試験を考えると成分名の由来の方が断然重要です。
インスリン デテミルを例に解説します。
名前の由来
(なぜデテミルと言うか?)
トレオニン(threonine)が欠損し(de)
リジン残基のε-アミノ基にミリスチン酸(myristic acid)を付加したポリペプチド。
⇒detemir(myrのyをiに綴り替え)
構造の特徴
付加したミリスチン酸が血中でアルブミンと結合し、標的組織に移行する。
参考:インタビューフォーム
これでデテミルがただのカタカナでなくなったと思います。
↓実際、103回で出題されています。
医薬品名の由来を知っていて得することはインスリンだけではありません。
化学から話が逸れますが、乳癌治療薬のアベマシクリブの由来は以下の様になっています。

アベマシクリブは適応である「進行または転移性乳癌」の英語を取って付けられた名前になっています。

薬の語源を勉要するならIFもオススメになりますが、書籍の方が見やすいので参考にして下さい。

学生時代に出逢いたかった1冊。
最後に:国試まで時間あるなら化学やろう!
繰り返しになりますが、化学はすぐに点数に繋がらないので時間をかけて勉強する必要があります。
ただ、身に付ければ他の科目も解けるようになるので時間をかける価値は十分にあります。

分からないことあったら聞いてね!
