【1秒で分かる】アミド基とカルバモイル基の違い

これだけ。


アミド・カルバモイルの性質

「中性」という理解でOK!
カルバモイル基(ーCONH2)・アミド基(ーCONHー)は厳密に言えば共鳴するので弱酸性なんですが、中性と覚えておけば大丈夫です。
アミド結合を持つ物質
核酸塩基
核酸塩基はアデニン以外全て環状アミド構造を持っています。

プロカインアミド
抗不整脈薬でⅠa群に分類されるプロカインアミドですが、名前から分かる通りアミド構造があります。

局所麻酔薬のプロカインのエステルをアミド化して加水分解を受けにくくし、作用時間が延長された医薬品です。


スルピリド
スルピリドはドパミンD2受容体遮断薬で胃部不快感や吐き気を改善する医薬品です。

補足ですが、スルピリドは通常のアミド結合に加えてスルホンアミド構造を持っています。
ドパミンD2受容体遮断薬は大きく、ベンズアミド系とベンズイミダゾリジノン系に分類されます。
ベンズアミド系
⇒スルピリド
メトクロプラミド
イトプリド
ベンズイミダゾリジノン系
⇒ドンペリドン

また、スルピリドは前述のプロカインアミドからメトクロプラミドの開発を経て創製されました。
この3つの構造が繋がっていることを知っていれば構造にアミドがあることも納得しやすいです。

カプトプリル
ACE阻害薬は全て構造中にアミド構造を持っています。

そもそもACE阻害薬のターゲットであるACEはタンパク質分解酵素なので、ACE阻害薬もペプチド(アミド)を構造に持つことが想像できると思います。
また、カプトプリルはペプチドトランスポーター(PEPT)により吸収されるので併せて理解しておきましょう。

インスリン

知ってる方も多いと思いますが、インスリンはペプチド結合を持つ代表的な物質です。

ビルダグリプチン
DPP-ⅣはGIPやGLP-1などのインクレチンを分解する酵素で、これを阻害して血糖値を下げる医薬品がビルダグリプチンなどのDPP-Ⅳ阻害薬です。
※DPP-Ⅳ:ジぺプチジルペプチダーゼ4
GIP:胃抑制ポリペプチド
GLP-1:グルカゴン様ペプチド1
DPP-Ⅳは名前から「ペプチド結合を分解する酵素」であることが分かるのでDPP-Ⅳ阻害薬にもペプチド結合があることが推測できると思います。

リュープロレリン

リュープロレリンはLH-RHアゴニストなので、ペプチドを持つと推測しやすいです。
※LH-RH:黄体形成ホルモン放出ホルモン
リュープロレリンは
- 下垂体のLH-RH受容体の脱感作
- 負のフィードバックによるGnRH分泌の減少
の2つのステップを介して抗エストロゲン作用を示します。

タクロリムス

免疫抑制剤のタクロリムスは23員環マクロライド化合物でアミド結合を持つ化合物です。
※マクロライド:大環状ラクトン
作用機序は以下の通りです。
- タクロリムスがFKBPに結合。
- タクロリムス-FKBP複合体がカルシニューリン(ホスファターゼ)阻害。
- インターロイキンの転写が阻害される。
- 炎症反応抑制。
(抗炎症作用)
※FKBP:FK結合タンパク質
図で見るタクロリムスの作用機序

国試にも頻出なので整理しておきましょう。
また、類似薬のシクロスポリンはFKBPではなくイムノフィリンと結合してカルシニューリンを阻害します。

両方ともカルシニューリンを阻害するのは一緒で、阻害する過程が違うよ!

アモキシシリン(βラクタム系)
アモキシシリンなどのβラクタム系抗生物質は環状アミドであるラクタム構造を構造に持ちます。

このβラクタム構造は抗菌作用を示すうえで重要な構造で、ペニシリン結合タンパク質(PBP)のセリン残基と共有結合して細菌の細胞壁合成を阻害します。


アスパルテーム
人工甘味料のアスパルテームはL-アスパラギン酸とL-フェニルアラニンメチルエステルから成るジペプチドです。


甘さはショ糖の約150倍!
また、ネオテームやアドバンテームはアスパルテームを基に開発された人工甘味料でその甘味は
ネオテーム
⇒8,000~13,000倍
アドバンテーム
⇒14,000~48,000倍
※アスパルテーム比
となっています。


フロセミド
ループ利尿薬のフロセミドはスルホンアミド構造を持つ代表的な物質です。

参考までにループ利尿薬はスルホンアミド構造を持つ4-クロロ-スルファモイルアントラニル酸を基本骨格としているので、同種同効薬のアゾセミドもスルホンアミド構造を持っています。


また、アゾセミドはフロセミドのカルボン酸がバイオアイスターであるテトラゾールに置換されているのでここも重要です。


他、スルホンアミド構造を持つ医薬品は以下の通りです。
- チアジド系利尿薬
- サルファ剤
- SU剤
- セレコキシブ

カルバモイル基とは「カルバミン酸」から-OHが遊離した構造

カルバモイル基はカルバミン酸から-OHが遊離した構造になっています。
カルバモイル基を含む物質
アミノ酸

人体を構成する20種類のアミノ酸の内、カルバモイル基を持つ物質はアスパラギンとグルタミンの2種類だけです。

2種類だけだと覚えやすいね!
カルバモイルリン酸

カルバモイルリン酸は「リン酸+カルバモイル基」というシンプルな構造をしています。
生体内では尿素回路(オルニチン回路)の出発物質として重要な役割を果たしています。

カルバマゼピン
抗てんかん薬のカルバマゼピンはカルバモイル基を持つ、数少ない医薬品の1つです。
構造式の覚え方は、
カルバモイル基(carbamoyl) + ジベンゾアゼピン骨格(dibenzoazepine)
⇒カルバマゼピン(carbamazepine)
です。


コリン作動薬
アセチルコリン受容体を刺激するお薬にもカルバモイル基を持つ物質があります。
具体的には、
- カルバコール塩化物(グラウマリン®)
- ベタネコール塩化物(ベサコリン®)
です。
これらのお薬はアセチルコリンと比べてAChEによる加水分解を受けにくいため効果が持続しやすくなっています。

カルバメート系殺虫剤
カルバメート系殺虫剤とはカルバモイル基を含む殺虫剤で、
- カルバリル
- メソミル
- BPMC(ブチルフェニルメチルカルバメート)
があります。

これらの殺虫剤はAChEを阻害することで効果を示しますが、メカニズムは以下のようになっています。(下図参照)

AChEのセリン残基のヒドロキシ基がカルバモイル基と反応し、酵素がカルバモイル化され酵素阻害が起こります。
まとめ

解決~!
でも、薬関係って色々難しいね。

そうだね。
お薬に関しては他の記事も参考にしてみてね!