【図解】シスプラチンとグアニン7位が反応する理由

hachi
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抗悪性腫瘍薬のシスプラチンは水と反応してアクア錯体となった後、グアニンと反応してDNAを阻害します。

この時、グアニンの7位の窒素が反応に関わっています。
この理由を解説していきます。
マニアックに見えて化学の基礎が分かっていれば理解できる内容なのでぜひ参考にして下さい!

国試に必要な知識が詰まった内容だよ!
Contents
グアニンの7位で反応が進む理由
まずはグアニンがシスプラチンと反応するメカニズムを確認しましょう。
(下図)


問題は
「なぜ7位で反応が進行するか」
だね!
結論を言えば「7位の窒素の塩基性が高いから」なんですが、これを理解するためにはグアニン窒素の塩基性を比較する必要があります。
次の項で詳しく解説します。
グアニン窒素の塩基性①:単純な比較

図を見て分かるように
二級 > 一級 > アミド
の順で塩基性は高くなるので7位窒素の塩基性が最も高くなることが分かります。
グアニン窒素の塩基性②:芳香族窒素の比較
次に4位と7位の塩基性の比較です。
これは、イミダゾールとピリジンの比較が出来れば分かります。

図から
イミダゾール > ピリジン
だと分かるので、グアニンの7位の窒素の方が塩基性が高いです。
以上から7位の窒素が最も塩基性が高く、シスプラチンと反応しやすいです。
おまけ:トランスプラチンに活性がない理由

トランスプラチンが結合したDNAは修復酵素によって薬剤が取り除かれてしまうため、シスプラチンよりも活性が落ちると考えられています。

要は
トランスプラチンもDNAと結合はするけど酵素で取り除かれちゃう
ってこと!
まとめ:シスプラチンから学べることは多い。
今回はグアニンの7位が反応しやすい理由を解説しました。
塩基性のことだけでなく、シスプラチンの作用機序の理解にも役に立ったと思います。
薬剤師は分子レベルで医薬品を理解できることが強みの1つです。
今後もこの観点を忘れずに勉強を続ければ他職種に埋もれることなく、薬剤師の強みが活かせます。
それではっ!
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