【ゴロより記憶に残る】有機カチオン&ア二オントランスポーター基質薬物の覚え方

有機カチオントランスポーター(OCT)、有機アニオントランスポーター(OAT)
見分け方はとっても簡単。
- 有機カチオントランスポーターの基質
⇒塩基性薬物 - 有機アニオントランスポーターの基質
⇒酸性薬物
後は、薬を見て塩基性か酸性か判断出来るようになれば国家試験は楽勝です。

記事を読んで得点源を増やそう!
有機カチオントランスポーターの基質薬物
トリメトプリム
スルファメトキサゾール・トリメトプリムの合剤(ST配合剤)で用いられるトリメトプリムは塩基性物質です。

プリム(prim)はピリミジン(pyrimidine)から来ているのでここからも塩基性であることが理解できます。


トリメトプリムの作用機序を図でまとめたよ!
(下図)

メトホルミン
ビグアナイド系糖尿病治療薬であるメトホルミンは見るからに塩基性が高い構造をしています。

そもそも、ビグアナイドの「ビ」は同一官能基が2つあるという意味で「グアニジンが2つ」あることを意味しています。

語源から覚えた方が覚えやすい!
シメチジン
H2ブロッカーであるシメチジンは塩基性物質です。

「抗ヒスタミン薬」という時点でヒスタミンと構造が近い
⇒塩基性
とイメージが出来ればここは理解しやすいですね。
(下図)

プロカインアミド
ヴォーン・ウィリアムス分類でⅠa群に分類されるプロカインアミドは第一級アミンと第三級アミンを持ちます。

プロカインアミドはエステル型のプロカインをアミド型に変換して加水分解されにくくし、作用時間を延長した薬剤です。
そしてプロカインは元々コカインをリード化合物として合成された薬物なので、
コカイン=アルカロイド
と理解していればプロカインやプロカインアミドに窒素があることもイメージしやすいでしょう。
(下図)

ピルシカイニド
ヴォーン・ウィリアムス分類でⅠc群に分類されるピルシカイニドも塩基性窒素を持つ抗不整脈薬です。

参考程度にピルシカイニドの由来を載せます。
ピロリジジン+リドカイン+アミド
からピルシカイニドという名前が付きました。
pyrrolidizine+lidocaine+amide
⇒Pilsicainide
(yをiに、zをsに綴り替え)


ピロリジジンが塩基性だよ!
シスプラチン
抗がん剤のシスプラチンはカチオン性物質です。

金属だからカチオン(陽イオン)
ってイメージしてもらえればOK!
他の薬物は相互作用が問題となることが多いですが、シスプラチンは単独でOCT2を介して腎臓の細胞に蓄積して毒性を示します。
カチオンになるメカニズムは下図の通り、血液中の水と反応して塩素が脱離してアクア錯体になります。

また、シスプラチンがDNAを阻害する時のメカニズムもアクア錯体を介するので参考にして下さい。
(下図)


シスプラチンのグアニン架橋を反応式で見る機会ないと思うけど、大事だよ!


バレニクリン
バレニクリンはニコチン受容体部分刺激薬です。

バレニクリンの考え方はシンプルで、作用機序からニコチンに構造が近いって想像できれば塩基性物質であることが想像できます。

有機アニオントランスポーターの基質薬物
フロセミド
ループ利尿薬のフロセミドはOATの基質薬物で、後述するプロベネシドとOCTで拮抗します。

そもそもループ利尿薬は4-クロロ-スルファモイルアントラニル酸を基本骨格としておおり、構造からも酸性であることが分かります。
(下図)


スルホンアミド+カルボン酸
⇒酸性だと分かるね!
スルホンアミド=酸性
と結びつかない方は以下の共鳴構造式を参考にして下さい。

プロベネシド
構造を見て分かる通り、カルボン酸があるので酸性物資です。

プロベネシドには
- 尿酸の再吸収抑制作用
- 尿酸の排泄抑制
という矛盾する2つの作用がありますが、再吸収抑制効果の方が高いので尿酸低下作用を示します。
また、相互作用では
- アスピリン
- トルブタミド
- アンピシリン
- メトトレキサート
- ワルファリン
などと併用すると併用薬の血中濃度が上昇する可能性があるので注意が必要です。

ここに挙げた医薬品も全て酸性物質だよ!
ロスバスタチンCa
ロスバスタチンは酸性薬物であるためOATの基質になります。


Caという名前からも
ロスバスタチンがアニオン性物質であると推測できるね!
また、シクロスポリンはロスバスタチンと併用禁忌です。
理由はシクロスポリンがOATやBCRPを阻害して細胞内のロスバスタチン濃度が上がるためです。

スタチン系薬物は基本的にフルバスタチンを除き、OATの基質になると覚えておきましょう。
(下図)


スタチンの構造はHMG-CoAを模倣してるからカルボン酸を持っている
⇒酸性って推測できるね!

メトトレキサート
関節リウマチや癌に用いられるメトトレキサートはカルボン酸を2つもつ酸性物質です。

というのも、構造が葉酸とほぼ同じなので
葉酸=酸性
が分かっていれば簡単です。


名前に「酸」って付いてるから酸性だよ!
この法則は色んな所で応用できるよ。
【復習】
葉酸の構成は
- プテリジン環
- p-アミノ安息香酸
- L-グルタミン酸
です。再度チェックしておきましょう。

シプロフロキサシン
意外かもしれませんが、ニューキノロン系のシプロフロキサシンはOATの基質薬物です。

構造を見ればカルボン酸があるので酸性であることは納得できますが、
そもそもキノロンの基本骨格はキノロンカルボン酸という物質でこの化合物から酸性であることがより理解しやすいと思います。
(下図)


キノロンカルボン酸にフッ素やピペラジンを導入して
抗菌活性を高めたものがニューキノロンだよ!
アモキシシリン
βラクタム系のアモキシシリンはフェノール性水酸基とカルボン酸から酸性物質であることが分かります。

でもわざわざ構造を覚えなくても、作用機序を考えれば酸性であることが推測できます。
まず、βラクタム系のターゲットであるペニシリン結合タンパク質(PBP)はAla-Ala結合を切断し、Ala-Gly結合を形成しペプチドグリカンをより強固にする働きがあります。
βラクタム系薬物は構造がAla-Alaに類似しているため、PBPが誤って薬物を認識し酵素阻害が起こります。
(下図)


Ala-Alaに類似してる
⇒アモキシシリンがカルボン酸を持つ。
⇒酸性
って繋がるね!
パラアミノ馬尿酸(PHA)
腎血漿流量測定剤として用いられるPHAはその名前からも酸性であることが分かります。


PAHは国試にもよく出るからチェックしておこう!
まとめ
OCTとOCTの見分け方をまとめます。
- 有機カチオントランスポーターの基質
⇒塩基性薬物 - 有機アニオントランスポーターの基質
⇒酸性薬物
名前や構造からほとんど判断できるので今回の記事を参考にして下さい。

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二次生能動輸送のOCTやOATなどはATPの加水分解エネルギーを間接的に利用する。
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(106-170)
- 解説・解説
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答え:〇
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(下図)分類【用法・用量・日数・総量】より引用 類題プラバスタチンはCYP450で代謝される?【薬剤師国家試験107回問171】
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