【科目別】76%で受かった薬剤師国家試験勉強法

106回現役合格のハチです。
以前に化学の勉強方法の記事を書きましたが、今回は科目別の勉強方法+アドバイスをご紹介していきます。
合格証明

国試は264/345(76%)で合格して、科目ごとの内訳は以下の通りです。
科目 | 必須 | 理論 | 実践 | 合計 |
物理 | 4/5 | 7/10 | 2/5 | 13/20 (65%) |
化学 | 4/5 | 6/10 | 2/5 | 12/20 (60%) |
生物 | 4/5 | 7/10 | 4/5 | 15/20 (75%) |
衛生 | 7/10 | 13/20 | 9/10 | 29/40 (73%) |
薬理 | 15/15 | 14/15 | 10/10 | 39/40 (98%) |
薬剤 | 13/15 | 9/15 | 8/10 | 30/40 (75%) |
病態・ 薬物治療 | 13/15 | 13/15 | 7/10 | 33/40 (83%) |
法規 | 7/10 | 9/10 | 7/10 | 23/30 (77%) |
実務 | 9/10 | ー | 61/85 | 70/95 (74%) |
合計 | 76/90 (84%) | 78/105 (74%) | 110/150 (73%) | 264/345 (76%) |
CBT・国試の勉強方法が分からない方には参考になるので、最後までお付き合いください。

僕が学生時代に作った点数表をプレゼントするのでダウンロードしてご活用ください。
はじめに:6年の勉強スケジュール
国試の時の1年の流れを紹介します。
当時の最新過去問(105回)を解いて
- 法規
- 衛生
- 物理
- 製剤
が苦手だと分かったので、
この4科目を徹底的に叩き込みました。
241点(70%)
105回の点数が193点だったので8か月で48点UP。
化学で全国23位になる。
- 過去問
- 模試解き直し
- 必須対策
- 苦手な所を集中的に復習
264/345(76%)
合格
最新の過去問を解いて苦手分野を把握できたことが合格の秘訣だと思っています。
全科目共通
これから科目ごとの勉強内容を紹介しますが、その前に全科目共通で行っていた勉強内容をご紹介します。
過去問:過去9年分を3週以上
97~105回を3週以上やりました。
「過去問解き過ぎ!」って思うかもしれませんが、過去問の力は偉大です。
実例は重症筋無力症過去問まとめを参考にして下さい。
国試がいかに過去問ベースかが納得できます。
薬ゼミ模試:過去2年分を2週以上
薬ゼミ模試は過去2年分解き直しました。
模試は過去問より難めですが、やれば実力が付くので過去問と併せてやるのがオススメです。

学校で受けた模試は必ず復習しよう!
メディセレ模試:1回受験
力試しで学校での模試とは別にメディセレ模試を受験しました。
個人的には薬ゼミ模試より難しい印象でしたが、実力試しが出来たので受けて良かったです。
直前期①:必須対策問題集
年明けには必須対策問題集を解いて、最後の仕上げを行いました。
必須は足切りがあるので確実に得点できるように準備したいですね。
直前期②:事前にまとめた「覚えられなかったリスト」で集中暗記
6年生になってから過去問や模試等で何回やっても覚えられなかった所をまとめていたので、直前期にはここを復習していました。

模試直前もアプリで復習してたよ!
使用していたのはWordHolicというアプリで、使いやすさ抜群です。
例です↓
フォルダ

問題例


アプリにまとめる時のポイントは以下の2点です。
- 正誤問題or説明形式の問題を作る
- 覚えられない所だけをまとめる
問題を複数選択式にすると答えを覚えてしまうので、必ず1対1で問題を作りましょう。
また、扱う問題はどうしても覚えられなかった所に留めておきましょう。
なんでもかんでもアプリに詰め込むと量が膨大になるので絞る必要があります。
扱う問題の基準は過去問・模試を複数回解いても暗記できなかった所です。
物理・生物
CBTまで:スタンダード薬学&オレンジブック
スタンダード薬学シリーズ&オレンジブック(メディセレ)を使用していました。
使い方としては
1 スタンダードシリーズを読み込む。
2 オレンジブックで問題を解く。
感じです。

因みにスタンダードシリーズの問題を解くとめっちゃ実力付きます。
スタンダードはボリュームあるので長期休暇などを利用して勉強することをオススメします。
僕の場合は、主に夏休み・春休みに勉強していました。
CBTまでにこの2つを完成させておけば、CBT・国試は楽勝です。
物理のアドバイス
⇒ちゃんと考えれば分かる問題多いから諦めないで!
今までたくさんの問題を解いて思うのは、
正答率が低いのに「考えれば分かるじゃん」って問題が多い印象です。
みんなこの「考えれば分かる問題」を諦めた結果、点数に繋がっていないんじゃないかと思います。
実例を2つ挙げます。
108回実践問題

※PVC:ポリ塩化ビニル
正答率約10%の問題ですが、ニトログリセリンの性質を考えれば解ける問題です。
ニトロ基が+と−を持つのでニトログリセリンがイオンと考えがちですが、分子全体は電荷を持たないため分散力(選択肢4)が答えになります。
105回必須問題

こちらも正答率約10%ですが、「逆滴定の言葉の意味」を考えれば解けます。
- 普通の滴定
⇒アスピリンにNaOH加えて終わり。 - 逆滴定
⇒アスピリンにNaOHを加えて、
過剰分のNaOHをH2SO4で滴定。
☆「逆」って書いてあるので普通とは違う滴定をしている。
これがイメージできれば答えは硫酸(選択肢5)であることが分かります。
他にも「考えれば解ける問題」は多数あり、特に物理化学にこの傾向が多い印象です。
物理はエントロピーなど暗記が必須な単元もありますが、逆に知識が少なくても考えれば解ける問題もあるので諦めず取り組んでいきましょう。

暗記すべき単元はしっかり覚えようね!
生物のアドバイス
⇒全部暗記じゃなくて、理解すれば勉強量減るよ!
生物は暗記!って思いがちですが、生化学や生理学は丸暗記よりも理解した方が結果勉強量が減ります。
※それぞれが「暗記」「理解」に100%振り切っている訳ではなく、
あくまで傾向です。
生化学や生理学が理解型である理由は、「仕組みや流れ」が存在するからです。
例を紹介します。
など、理解型の単元はたくさんあります。
前述の通り、これらには「仕組みや流れ」があるので丸暗記よりは「一連の流れを口頭で説明できるようにする」イメージで覚えると実力がすごく付くのでやってみて下さい。

友人と一緒にやると、より理解度が高まるよ!
化学:以前書いた記事をご覧下さい。
化学の勉強方法はざっくり以下の通りです。
- 官能基
⇒問題を解けば自然と身に付くので無理して覚えなくて良い。 - キラル・アキラル
⇒イメージを付けたら過去問を解きまくる! - 酸性度・塩基性度
⇒パターンが分かれば楽勝! - 反応
⇒「電子の動き」と「試薬の働き」がポイント! - 天然物化学・生薬
⇒「特徴」を掴めば構造式全部を覚える必要なし!
詳しくは以下の記事をご覧下さい。


物化生は衛生・医療分野の基礎になるから、最初に勉強した方が後々楽だよ!
衛生
CBTまで:パザパ&衛生薬学&オレンジブック
スタンダード薬学シリーズ&オレンジブックを使用していました。
ただ、衛生は問題が足りないと感じたので「パザパ薬学演習シリーズ」も併せて活用していました。
300ページ以上正誤問題だけで構成されているのでガッツリ衛生の点数を上げたい方はオススメです。



パザパはCBT・国試前にそれぞれ3週以上復習したよ!
あると便利な参考書:公衆衛生がみえる
僕自身、衛生や法規で出てくる条約や法律、廃棄物の分類などが苦手でしたが、これらが表・イラストでまとめられているので勉強がすごく捗りました。
加えて、死因統計や食事摂取基準など情報がアップデートされる分野もしっかりカバーされているので安心です!

「みえるシリーズ」は最強サポートアイテム!
アドバイス
⇒単元ごとに勉強方法を変えよう!
- 人口統計
- 疫学
- 疾病予防
- 感染症・予防接種
- 環境関連(水、大気、室内環境など)
- 法律
- 廃棄物
これらは暗記なので問題を繰り返して覚えましょう。

模試前はこの辺りを集中的に復習すると点数に直結しやすいよ!
- 栄養素
- 健康食品の成分
- 食品添加物
- ADME
- 化学物質の毒性・発がん性
- 中毒物質の解毒
- 放射線
逆にこの辺りは「理解」を伴うので時間をかけてじっくり進めていきましょう。
焦って覚えようとしても点数には繋がりません。

一度理解すれば忘れにくいのが特徴!

薬理
CBTまで:オレンジブック
主にオレンジブック(メディセレ)を解いて対策してました。
これ1冊で大丈夫でした。
国試で正答率98%だった理由
⇒たくさん疑問を持って勉強したから
国試の薬理は1問しかミスしてない状態で、何ならCBT以降薬理は模試・過去問の見直し以外ほぼ勉強していません。
薬理をここまで伸ばせた理由は、疑問を持って勉強し続けたからです。
どの科目でもこのやり方は大事なのですが、特に薬理はこれを意識しました。
1つ質問です。
チアジド系薬剤で高Ca血症が起こる機序は?
高Ca血症が起こるのは知っていると思いますが、機序まで知ってる人は少ないと思います。
この辺りまで突き止めていくことが重要です。
因みにチアジド系薬剤で高Ca血症が起こる理由は以下の通りです。
チアジド系で高カルシウム血症が起こる機序

① 薬剤がNa+-Cl–共輸送体抑制
② 上皮細胞が陽イオンを補うためにCa2+の再吸収促進
③ Na+-Ca2+により上皮細胞からCaが排出される
④ 血中Ca2+濃度上昇
因みにチアジド系を使うと尿中カルシウム濃度が減るので、尿路結石の再発予防に用いられることがあります。
参考:再発を繰り返す尿路結石にトリクロルメチアジド:日経DI
更にどんなことに疑問を持ったら良いのか、チアジド系を例に挙げていきます。
- どんな経緯で開発された?
- 構造の特徴は?
- 副作用が起こる理由。
- 他の利尿薬との比較
などです。
このように勉強が出来れば、薬理だけでなく他の科目の点数UPに繋がるのでオススメです!

疑問の見つけ方
⇒講義、問題、添付文書・IF
講義内容、過去問などで出てきた事柄について「なんで?」と考えれば自然と調べるきっかけになります。
加えて、添付文書・IF(インタビューフォーム)の参照がオススメです。
理由はネタの宝庫だからです。
これらの資料には
- 薬理作用
- 副作用
- 相互作用
など医薬品に関する情報が詰まっているので、活用しない手はありません。

日頃から添付文書・IFに触れる習慣を付けよう!
薬剤
CBTまで:薬学スタンダードシリーズ&オレンジブック
薬学スタンダードシリーズ&オレンジブックで対策しました。
薬物動態のアドバイス
⇒計算問題は点数を落とさないように!
薬物動態で苦戦を強いられるのが計算問題です。
国試では
- 公式通りの簡単な問題
- 公式を組み合わせる複雑な問題
の2つのタイプに分かれていて、複雑な問題にも対応できる様に準備しておくのがベストです。
勉強方法は過去問・模試を中心にやればOKですが、何となく解けるようにするのではなく解き方を理解するのがポイントです。
問題~解答までを図を使って人に説明できるくらい理解できるとベストです。
↓イメージ

もう1つ計算問題で大事なのは、問題で何を問われているのかを見失わないようにすることです。
国試当日は「何の計算してるんだっけ?」って焦りがちなので、日頃からトレーニングしておきましょう。
製剤のアドバイス
⇒正答率が低い問題でも暗記すれば得点できる!
正答率は低いけど、しっかり暗記すれば得点できる問題が多い印象です。
- リポソーム製剤と乳酸・グリコール酸重合体
- ケーキングとクリーミング
- 製剤試験法
- 製造工程(湿式顆粒圧縮法など)
- 高分子化合物(セラセフェートなど)
ざっくりこの辺りの分野です。
普段の復習は勿論ですが、試験前の復習でそのまま点数に繋がるので見直し必須です。
余談
僕は空除率や食塩価などの計算が苦手だったので虹本を購入して解いてました。
虹本は他の参考書と比べてオリジナル問題が豊富なので、様々なタイプの問題を解くことができました。
書籍・模試情報 | 薬剤師国家試験対策予備校-ファーマプロダクト

因みに物理の計算対策でも虹本使ってました。
病態・薬物治療
CBTまで:病気がみえる&オレンジブック
病気がみえる&オレンジブックで対策しました。
問題を解いて分からなかった所
⇒病気がみえるで調べる
を繰り返していました。
病気がみえるは薬学の本より内容が深いので病態をしっかり理解することができます。
更に、勉強して感じたことですが、
薬理⇒病態で理解するよりも
病態⇒薬理の順で勉強した方が病気全体の理解が深まります。
どうしても薬剤師なので薬に目がいきがちですが、薬物治療は病気を治す選択肢の1つなので先に病態全体を見て治療法・処置を知って上で薬を見た方が結果的に知識が付きやすくなります。

薬剤師も病態の知識必須だよ!
病態のアドバイス
⇒薬理と同様、疑問を持って勉強しよう!
ざっくり病態を勉強する際の観点をまとめました。
- 症状が起こる理由・原因
- 性差は?好発年齢は?
- 診断基準は?
- どんな検査をする?
- 特異的な検査値
⇒上昇(低下)する理由 - 代表的な症状
- この病気の第一選択薬は何?
⇒効かなかった時の代替薬
この辺りを中心に勉強が出来れば病態でしっかり得点できます。

病態は実習行く前に1回やっておくと実習がスムーズだよ!
法規
CBTまで:オレンジブック
オレンジブックで対策しました。
暗記なのでひたすら問題を解いてました。
法規のアドバイス
⇒試験直前の復習で確実に得点を取ろう!
法規は勉強したかがダイレクトに点数に繋がるので、試験直前は特に重点を置いて復習しておきしょう。
実務
CBTまで:オレンジブック
オレンジブックで対策しました。
実務は他の科目が出来ていれば得点できることが多いので、そこまで力は入れてませんでした。
注意点:実務実習行ったから実務が出来るようになる訳ではありません!
「実習行けば実務はできるから勉強しなくて大丈夫だよ」
って声もありますが、これは半分正解で半分間違いだと思っています。
勿論、実習で学んだことがそのまま国試に繋がることもありますが、国試の勉強は必須です。
+α:似た科目をくっつけて勉強すると効率UP
物理⇒化学⇒生物…
の様に勉強するのもアリですが、同じ時期に似た科目を一気に勉強することで効率UPするのでオススメです。

僕も実際にやってました!
物理&薬剤
物理&薬剤の計算分野は内容が被ってる部分もあるので、一気に片づけちゃいましょう。
生物&薬理・病態
1 生物で正常な身体を理解する。
2 病態で正常な状態との違いを理解する。
3 薬理で病気に対する治療薬を学ぶ。
この流れで一気に勉強するのもめっちゃ捗るのでオススメです。
衛生&法規
衛生と法規は法律分野の暗記を一気に復習しましょう。

模試・国試直前はここを叩き込んでたよ!
過去問を解く時の注意点
⇒本番に近い環境で解こう!
過去問は本番に近い環境で過去問を解くのがベストです。
※2回目以降解く場合も同様です。
自分の部屋など静かな場所で時間を計って行いましょう。
参考:スタンダード薬学シリーズの使い方
今回何度も登場したスタンダードシリーズは、CBT・国試対策に非常にオススメできる参考書です。
本書の活用法を知ることで試験対策がより楽になるので参考にして下さい。

まとめ:勉強方法・アドバイスがお役に立てたら嬉しいです。
国家試験の勉強方法を紹介してきました。
勉強方法は人それぞれですが、まだ自分の勉強方法が見つかっていなければ僕の方法を参考にしてみて下さい。


