実践問題
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シスプラチン使用時の注意点【薬剤師国家試験109回問343】

hachi
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61歳女性。身長165cm、体重57kg。左上葉非小細胞肺がん(腺がん、EGFR遺伝子変異陰性、ALK融合遺伝子陰性、PD-L1<50%)で骨転移があり、StageⅣM1b期と診断された。
初回化学療法としてシスプラチン、ドセタキセル併用療法を導入することになった。

この患者の化学療法を開始するにあたり、薬剤師の確認及び提案事項として適切なのはどれか。2つ選べ。

1 非ステロイド性抗炎症薬が服用されていないことの確認

2 中等度催吐性リスクの抗がん薬に対する制吐薬が処方されていることの確認

3 シスプラチンの希釈液として生理食塩液が処方されていることの確認

4 通常の輸液によるハイドレーションを変更して、経口補液との併用によるショートハイドレーション法の推奨

5 腎障害モニタリングを投与開始後3日目より実施

Q
解説・解説

答え:1と3


⇒シスプラチン、NSAIDsは共に腎障害リスクがある為、確認が必要。

機序は以下の通り。

シスプラチン
有機カチオントランスポーターにより腎細胞に蓄積。

NSAIDs
⇒PGE2阻害により腎臓の血流低下。


⇒シスプラチンは高度催吐性リスクに分類される。

制吐薬適正使用ガイドライン」を参考に作成。


⇒シスプラチンは生理食塩水で希釈しないと薬効が下がる。

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⇒本患者はPS2、既往歴に「うっ血性心不全」があるためショートハイドレーションの適応外。

ショートハイドレーションの適応
  • 腎機能が充分に維持されている。
  • 飲水指示に対して十分な理解力を有すること。
  • 心機能が保持されていること。
  • 全身状態が良好であること(PS 0-1)

詳しくは
シスプラチン投与におけるショートハイドレーション法の手引き
を参照。

PS(パフォーマンスステータス)については下図参照。

引用元:「Q27肺がんの治療はどのように決めていくのですか〜臨床病期(ステージ)と治療選択〜


⇒シスプラチンは腎毒性があり、頻回の腎機能検査が必要。

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薬剤師
106回薬剤師国家試験現役合格
大学2年の時に化学を挫折しそうになるも、2年間化学漬けの日々を送り大逆転。
⇒CBT~国試まで化学は殆ど勉強しなくてもOKな状態になった。
⇒国試模試で化学単体で2万人中23位に。
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